はるはなひいな5

 

 ハルから指輪を取り返し、身体は晴れて自由となった獄寺は、雲雀を探していた。

 さまざまな事故や手違いが重なった結果とはいえ、是非にと招待しておきながら、叩き出してしまっ
たのだから後味が悪い。
 一方的に自分が悪いのがわかっているので、謝罪しないままでは気持が晴れない。

「ダメもとのつもりだったんだよな。まさか来てくれるとは思わなかった。」

 携帯。出ない。

「謝る前に、来てくれた礼も言わなきゃなんねえ。」

 メール。返信なし。

 既に町は暗くなっている。

 雲雀がどれほど怒っているかを思うと、獄寺の腕にざああっと鳥肌が立つ。
 探して見つけて会って謝って、結局、咬み殺されるのは必至だ。

 それでも今日ちゃんと謝っておかなければ、もう二度と、雲雀は自分達の方へ歩み寄ってはこない
ような気がする。
 ここは誠心誠意をもって咬み殺されておかねばならない。


「兎に角、雲雀をみつけないとはじまらない。」

 しかし、獄寺には雲雀が休日にいそうな場所が思いつかなかった。
 平日なら学校のどこかにいるだろう。

「そういえばオレ、あいつの家も知らねえ。」

 道端の石をこーんと蹴っ飛ばすとバス停の時刻表にあたった。
 あてずっぽうに動きまわってもしかたない。頭を使おう。

 獄寺はバス停のベンチに座った。

「雲雀は今どんな気分だ?」

 気分が分かれば、いる場所のヒントはきっと見つかる。
 範囲は並盛町に限られるのだから。

 怒りまくっているのは確かだろうけれど、それだけだったら、もう既に雲雀の方からやってきて獄寺
はズタボロにされているはず。

 女どもに撃退されたことを悔しかったり、恥ずかしがったり感じているかもしれない。

 バスが来る。止まる。

 下着姿の女子の群れは、刺激が強過ぎだったりするかな?

 ドアが開く。

 だけどそれより。

 数人の乗客が降りる。

「オレだったら、呼ばれて行ったのに締め出されたら、さびしすぎる。」

 獄寺は両手をばってんにして、車掌に乗るつもりがないことを伝える。

「・・・・・そうだ。雲雀は今、さびしいんだ。」

 ドアが閉まる。 

「オレならさびしければ、動物とかふわふわしたものを触りたくなるけど。」

 動物を探すか?ぬいぐるみとか探してみるか?なんかぴんとこない。



 走り出したバスの車体の向こうに雲雀がいた。




 

 


2009/03/04

にょたじゃないので背景色変えてみました。あんまり意味ないけど。

 

 

 

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