はるはなひいな4

 

 女装させられるのかと思いきや、獄寺が着させられたのは帯も細い男物の和服だった。

「やーん。可愛い女の子の男装って素敵ですう。」
 ハルは両目に星を浮かべて、はにゃーんとなっている。

 女ってわかんねー。
 やっぱり自分は女にはなれないと、獄寺は再認識した。

 イーピンがお雛さまで、獄寺がお内裏さまという趣向らしい。
 京子、ハル、花は官女のなりで、髑髏だけ黒レースがごっそりついたミニのゴスロリ着物だ。

「はーい。お写真とりますよー。こっちを向いて笑ってくださーい。」
 イーピンを抱っこしたり、並んだり。

 この写真が現像される時、鳩という少女は世界のどこにもいないけれど、今イーピンがコロコロ笑っ
ているからいいや、と獄寺は思う。

 ランボも茶巾寿司をほおばっているし、ボンゴレ式でない年中行事は得点なんか気にしなくていい。

 少女たちは桃の花をかたどった和菓子をつまんだり、イーピンの髪に花飾りをつけたり。獄寺が作っ
た折り紙の雛人形の精巧さに舌を巻いたり。

 一生のうちたった一日だけ女の子になるのなら、今日が一番いい日なんだろうなと獄寺は思い、そ
う思った自分に驚いた。



「じゃ、獄寺さん、一日いい子でいたから、指輪を返してあげます。」

 片づけも終わり、着替えも済んで、京子と花と髑髏が帰っていった後、ハルは約束通り指輪を返して
くれた。
 指輪を左手の薬指につけると、ふわふわと長かった髪が消えて元の長さに戻る。
 身体の他のパーツも男に戻って安堵する。

「ハル、悪いけど十代目達が帰ってくるまで、ランボとイーピン見ていてもらえるか?」
「いーですよー。そのかわりに、また女の子だけで遊びましょうね。」
「果てろ!」



 雲雀に謝罪しに、獄寺は沢田家を飛び出して行った。




「ただいまー。」
 日が暮れて随分と経ってから、ツナと奈々は帰宅した。

「お帰りなさーい。これ獄寺さんが作ったんですよー。」
 ハルが指さす先。
 はしゃぎ疲れて眠っているランボとイーピンの横に、獄寺の折った雛飾り。

 


「・・・こっちは、楽しかったみたいだね。」
 早々に夕食を作り始めた奈々に比べて、ツナの疲労の色が濃い。

「お疲れみたいですう。」
「・・・・・・・うん。母方の家って最後に組がついてたんだ。」
「はひい。組ですか!」
「オレに組の10代目を継げって話で。」
「ダブル!ですか!」
「今、リボーンが先に唾つけたのはこっちだって言って、あっちのヒットマンとやりあってる。」
「そしたら、マフィアをやめて組の10代目になるかもしれないんですか?」
「・・・・・・・・・どっちもイヤダ。」

「どちらでも、ハルはついていきますよ?」

 桃の花みたいに最強ですから。




2009/03/03

 完了って言ったのに続けてみたり。



 

 

2009/03/02

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