取り引き(標的19)



「へえ。雲雀でもあれを芝居と見破れなかったのか。」

 との、リボーンの言葉のみ持ち帰った風紀委員会メンバー全員が、雲雀のトンファーに叩きのめされ
倒された。



「赤ん坊に死体処理の依頼を受けてる。今さらキャンセルしないよね。」

 再度沢田家を訪れた雲雀は、袖口から赤黒く汚れるトンファーの先を見せびらかす。
 運悪くリボーンはお昼寝中。ツナと獄寺だけだった。

「はじめっから死体なんてなかったんだ!」

 獄寺が後ろにツナをかばい立ち、咥え煙草に両手のボムの臨戦態勢をとる。

「これから作ればいいよ。」

 切れ長の目と口角を吊り上げて雲雀は言う。

「獄寺隼人、君が死体になる?」

 どん。
 ツナが獄寺の背を押した。

「獄寺君行ってらっしゃい。」

 すっぽり、獄寺の体が雲雀の腕の中に納まる。

「雲雀さんを説得してきて。」

 雲雀は突然のキャッチに驚いたものの、習性から反射的に獄寺の腹に拳を入れた。

「ひっ。」

 ぐてっと力なく雲雀にしなだれかかる獄寺。

「ワオ。君、案外酷いね、沢田綱吉。」

 面白い。
 雲雀は獄寺が床に落ちないうちに肩に担ぎかえる。

「かばわれたら、なんか頭にきて衝動的に。」

 ツナは自分の両手をまじまじと見ていた。

「じゃあ遠慮なくもらっていくよ。」

 雲雀は窓に手をかける。

「これでさっきの件、無かったことにしてもらえますよね。」

 まあいいや。殺しはしないだろうし。

「おつりがでる。」

 何して遊ぼうかな。咬んでみようか舐めてみようか。
 雲雀はもう、うわの空。

「あっ、明日学校で返して下さいね!」

 雲雀の背に向かってツナが叫んだ。

「じゃあね。」

 ツナの目に雲雀は軽くうなづいたように見えたけれど、明日は知れない。


2009/03/11
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