猫の名前

 

「なあああご。」

 子猫にすり寄られて、雲雀は再び目を覚ました。

「わざわざ返しに行ってやったのに、主に似てバカな猫。」

 雲雀に撫でられる前から、子猫は喉を鳴らしている。

「もう僕はあの子には会わないよ。しばらくしたらひとりで帰ってね。」

 24の獄寺が誰よりも先に子猫を見せたのは25の雲雀だったから、子猫にしてみれば14の獄寺より
も25の雲雀の方に懐いていても仕方がない。

「あの子が空回りしないよう、ついているんだよ。」

 猫の名前の本当の意味を誰にも気づいてもらえずに、14の獄寺は今頃消沈しているかもしれない。
 それでも、いつか誰かに気づいてもらえた時の喜びを、今の自分があの子から奪ってはならない。

 『隼人瓜』と繋げて、二枚貝よりもむしろボンゴレの紋章の意匠によく似た、白い実の名前になること
を、他の子どもたちが気づくのはまだ当分先だろうけれど。

「15の僕が一番乗りできることを期待しようね、瓜。」
 




2009/02/19



 

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