ゴクデラックス
日本の普通の中学生、その中でもあまりできがよろしくない方の沢田綱吉がボンゴレの次代のボスに決定し
たのは、実はリング戦よりずっと以前のことだ。
「10代目!オレは一生あなたについていきます!」
獄寺隼人がツナを10代目と呼んだその時、ボンゴレの命運は定まった。
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「へえ、うちのせがれがねえ。」
実の父、ボンゴレ門外顧問の沢田家光は、頭が肩につくほど首を傾げた。母親譲りの優しい性格だが、マフィ
アの世界で生き抜く力も、組織を牽引するだけの魅力にも欠けていると判断していた。リボーンを派遣したのは、
ボス教育は口実で暗殺から守るためだ。
リボーンから、獄寺がツナに従うと言ったのを確かに見届けたと連絡が入った時、家光はリボーンのジョークの
センスを疑った。
「いいんですか。あんなので。」
「隼人君が選んだんだ。決まりだよ。」
獄寺自身も知らないが、いずれ彼の意志がボンゴレの10代目を決定するということは、幼少の時から既にわか
っていたのだ。何故だか知らないが、そういう星のもとに生まれついたとしか言いようがない。
獄寺が6歳で城を飛び出して以来、九代目の血縁の者、ボンゴレの縁者、同盟ファミリーのボス、その他各方面
の能力に秀でた者等、多くの人間に面通しさせてきたが、空振り続きだった。8年目にしてようやく待望の人物が見
つかったことにより、ボンゴレ首脳陣は安堵したが、ツナに対する不満の声は高い。
「隼人君はマフィア界のアイドルだから、リボーン君にはしっかり綱吉君を教育してもらわないとならないね。」
マフィア界に獄寺隼人の潜在的なファンは数知れない。嫉妬のあまりツナに危害を加える者も出てくることは容
易に予測できるのだった。
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「10代目、どうしてこんなに次々と敵があらわれるんでしょう?」
これまでに、パイナップルを鎖に繋ぎ、暗殺集団を包帯でぐるぐる巻きにし、糖尿病寸前の白い人にはマシュマ
ロ断ちをさせた。
そしてたった今、ツナは白馬にまたがったディーノから、連れ去られた獄寺を奪い返してきたところだ。
「オレ、やっぱりマフィアになんかなりたくねー!」
「それでもオレはあなたについていきますから!」
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2010/02/23
ツナ獄でなくて、獄総受。
そして獄は純粋に、ツナをボスとして慕っている。