暴力 スノー・ホワイト

 

 ふるふるゆきふるしろいゆき
 つもるはしからちにそまる
 かわいいあのこのちにそまる
 しろくてくろくてあかいこがあのこをゆきにうめました
 ころしてゆきにうめました


 ヒバードがリリカルに歌いだし、血なまぐさく歌いあげる。


「変な歌を教えないでよ。」


 降る降る雪降る白い雪
 積もるはしから血に染まる
 可愛いあの子の血に染まる
 白くて黒くて赤い子があの子を雪に埋めました
 殺して雪に埋めました


「僕の趣味だと思われる。」


 雪降る夜の屋上で、仰向けの獄寺は口の中に鉄の味をさせている。
 黒い髪白い肌赤い唇。
 白雪姫みたいな雲雀に殴り倒されて。


「イタリアの童謡だ。ダセエ校歌よりましだろ?」


 言い終わらぬうちに、雲雀にげっしと腹を蹴られ、胴をくの字に曲げる。


「君はマゾ?僕を怒らせて咬み殺されるのが趣味?」


 まさか。獄寺は思う。
 オレはこの雪みたいに冷たい男を、溶かしてしまいたいだけだ。


「立って。ここで凍死体になったら殺すよ。」


 無茶言いながら、雲雀は獄寺を立ちあがらせ、肩を貸す。


 ほら、お前にはオレを殺して埋めるなんてできないんだ。


 獄寺が痛みに呻けば、雲雀の動きが一瞬止まる。


 もう、溶けだしている。 



 ふるふるゆきふるしろいゆき



 いつまでも、殺されっぱなしでたまるか。









2009/03/04

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